メケ/ただのみきや
 
まく人に仕立て上げ言論や風刺のふりをさせろ
騙し合うすまし汁に静かに沈む戦艦のように旗から旗へ伝授せよ
九十九里の撫子が春に孕む姫の秘め事を手繰り合う歌会のエロチシズムで
血染めの哀で愛し合いながら悲鳴を譜面に起こせ不在のまま閲覧禁止せよ
そうして真中から破られよ慣習としての藁人形に目鼻口をつけろ
意識下層から拾い上げ投石機に結わえられた一己のイシが
世界を一周して後頭部を打つロケット弾的感嘆符も疑問符もなく
うずくまり果てるまでシのラのソの詩の裸の其の死の螺の苑で
いのちの乳房が実在だ真実だと口にすればするほどあやうく萎みだす
哲学的落胆へ注げ清浄なるスピリッツを無形の器を拡張
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