紡ぐ日々/
石田とわ
毎朝冷たい風に吹かれながら
洗濯物を干すその手は
ひどくかさつき荒れていた
誰よりも早く起き
米を研ぎ、味噌汁をつくる
皿を洗い、こどものために
りんごをむく
匂いがつくからとその手に
クリームをすりこむこともしない
すべてをいとおしむ証
ふっくらと炊きあがった白米
味のしみ込んだ柔らかな大根
日向の匂いのするタオルたち
短く切りそろえた爪がよく似合う
その手は強く美しく
それらを産みだし紡ぐ日々に
柔らかな頬が頬ずりをする
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