いつもの夢/森川美咲
 
逃げた
触れれば離れられなくなると
知っていたから

逃げながら
あなたが追ってくるのを
感じていた

逃げきれなかったふりをして
中途半端な隠れ方をして
待った

あなたが通りすぎようとして
やがて気づいて
近づいてくる

そこで目が覚める
あなたとは別の人に与えられた
暖かな部屋で
ひとり
いつもの夢

あの日
逃げたのはあなた
追わなかったのは私


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