赤いモペット/梅昆布茶
 
たので安く譲ってもらい
ナンバーと保険をかけてすぐかぶって停まってしまうエンジンをだましだまし
半分はペダルで漕いだり押したりしてなんとか家まで運ぶ。

ヨーロッパの映画などで美しい女優さんが古い町並みを背景にSOLEXというフランス製のモペットでかろやかに走るシーンなども思い起こされる。

すぐに乗れる代物ではないし
スピードもせいぜい40kmぐらいしかではしない。
これからレストアが専門の友人に相談しつつ
復旧させてゆく楽しみあるいは苦労が
駐車場の自転車の隣り合わせにやや錆び付いて休んでいる。

でもかなり軋んだりがたついたりする
油の切れかけた誰かさんにも似た
赤い古いモペットは
僕の日常の背景を
きっといつか走り抜ける筈だと信じているのだ。



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