ふたつ さまよい/
木立 悟
金属の手がころがっていて
誰よりも何よりも崇められている
鉱の他はすべて やがて
消えてしまうというのに
落ちそうで落ちない
空の辺を歩き
岩でできた中庭を
誰もいない貝の客席を巡る
ゆうるりとゆうるりと
冷えてゆく足
言葉はすべて眠りのように
荒地のように横たわる
鈴の荒地 花の荒地
霧の荒地がその上をさまよい
消えた子と
うたの行方を照らしつづける
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