ストレンジ・バット・トゥルー/ホロウ・シカエルボク
ったかね?自転車のペダルを踏みながら帰った、月は俺の声を聞く気はないようだったから―俺はときどき眠りながら、肉体が失われたような感覚を覚える、消滅するのだ、意識だけを残して―その瞬間心に飛来するものは、怖れや焦りの類などではなく、まさしく解放と呼ぶにふさわしいものだったよ、俺は湖のような重さと柔らかさをもってそこに漂っているんだ、それはまさに自由という感覚なのだ、自由という感覚は本当は、日常なんてものの中には存在しはしないのだ、それはおそらくは肉体がある限り…居心地のいい不自由さに抱かれて安穏としているとそのことに気づけないのだ…鎖を幾重にも己が身体に巻きつけてストイシズムに勃起してる連中…まった
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