happiness/りぃ
 

 ママは言った
 貴方ほど幸せな子はいない
 小さな手で握り締めたママの指を覚えてる
 
 病室
 白い天井
 立ち並ぶ機械
 外れた呼吸器
 無意味に響く甲高い機械音

 ――ママは言った
 貴方は愛されている誰よりも
 いつからか握らなくなった手は力無くか細い
 
 窓を叩く雨
 走って追いかけたら間に合う距離で
 ママ、貴方はもう見えない

 もういいのよ、ママ
 もう暗示は解いていい
 私は今までとても幸せだったの
 私は今までとても愛されていたの
 
 気づかず生きてきたの
 今の今まで。

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