薬売り/山人
だ姿勢でするすると板の間に領収書と共に手を這わせ、右手で薬を同じ場所に並べて置いた。要らないと意思表示するのを手で遮ると、薬屋は一呼吸置き、射るような視線で薬屋は語り始めた。
自分の心が今何処にあるか、どういう風になっているのか、風邪をひいているのか、熱があるのか、傷がないのか。体のそこらへんが痛かったりすると薬や医者に行きますが、心がそんな風になっていても、人は無頓着なものです。自分の心が今何か困っているのではないか、その原因はなんなのか、あまり考えてはいませんよね。この薬の成分は申し上げることは出来ませんが、心の中身を見つめてあげる薬なのです。心が一番大事なのです、生かすも殺すも、死ぬも生
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