瞬くもの 呼ぶもの/木立 悟
虫と花を行き来する羽
雪に重なることなく降りつづき
ひとりの食卓に積もりゆく
線の笑みに埋もれる部屋
まばたきのはざまの火と光
冬からあふれる冬の息
五人の少女が
居たり居なかったりする
地に刺さる火柱
毎日つづく
おまつりの日
見えない服を何枚も着て
次々に次々に脱いでゆく
雪を掘る 雪を掘る
雪の他は何もないはずなのに
見えない服ばかり降りつづく
五という数字が
月蝕に似ているので
手はしばらく溶けてくれない
誰にも
顧みられない
緑の粉 金の粉
くちびるからずっとこぼれる羽
洞窟へ至る径をし
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