元日の夜に/草野大悟2
 
擁力、なんという人の良さ。君は、聖母マリアの生まれ変わりか? などと感心している場合ではないな。今は、絶対。ここは一番きっちりと言ってやる。言ってやるべきだ。ガーンと。
「はい、ぜひ」
 ガーンと言う前に、奴ら三人に先を越されてしまった。
 三人は、美智子がよそってきたお雑煮を、いかにも美味そうに、はふはふ言いながら、黙々と食べている。
 それを見ていると、なんだか温かなものがもわーっ、と私の中に広がっていった。
 なんなんだこれは? 一体全体私はどうしてしまったんだ。
 美智子を見る。にっこり笑っている。笑いながら奴らが雑煮を食い、おせちを食い、獺祭を飲むのを見て、幸せそのもののよう
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