Clock:/竹森
 
枯草が、湿り気を帯び、奪われた割れる音、
だけが取り残されたように、
平野で歌う、小鳥たちの嘴が、微かに、発泡して、

杖の、一振りで、凪いでいく、象は、
地平線に帰り、月の粉末は、その跡に降り積もる、
土に血で触れる、兵士たちが見たのは、本当に、
満天の星空、でしたか、私は、
ここで、象を撫でながら、あなたを見ていない、
人になら、なれる、

言葉が意味を成さなくなってから、
羊皮紙の裏側に滲むインクが、
込められた感情の大きさを語り始める、
婚約指輪を抜いた、幼妻の薬指に、宿す、
左右対称の、蝶々の翅の軸は、間違っても、
数学の道具にしては、いけなくて、
今夜
[次のページ]
戻る   Point(5)