まだ、 うまれたばかりの、夜の、 瑞々しい暗色の、 ぬれた線で描かれた物語、 について、ぼくはできるだけちいさな声で、 語りたい、たとえば亡くなったひとの、 骨を拾うように、 そして、 なんどでもくりかえし、 読みきかせては、もとにもどって、 解釈をさけるあしどりの、 くらい雪道に、おもいでさえほりおこせない悴んだ、 指先、身体のうちがわに滲みる時間と、瑣末な、 たとえばガス料金の請求書をながめるような時間との、解離に、 かろうじて、意味の生じている夜に、