ラプラス/opus
真っ暗闇の中
時々、ライターの火をつける
しかし、いつまでたっても
そこには土の壁
土の天井
土の床
今は暑くて
袖で顔を拭うと
目に砂が入って痛い
勿体無いから
火を消すと
暗闇
そして、
残る火の残像
ゆらゆらと揺れて
形をなさない
そいつは次第に
広がるような
消えいるような
混沌の様を示し
そこに映像を示す
灰色の犬
50cmほどの中型犬で
板の間をトコトコと歩く
白熊の毛皮で出来たブランケットの上で
疼くまり
事付ける
「腹が減った」
上司の顔が写る
50代の親父
そいつが俺の娘を
抱く
「怖がらなくて良いんだよ
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