殺戮の海/瑞海
いつも傍には
君がいることが
当たり前だったのだ
いつの間にか
僕が殺すことが
必然であったのだ
だから後悔することなんて
何も無い
はずなんだ
黒い夜に
ベッドの上で眠りに落ちる
途端に目隠しされて
飛ばされた赤い海
たくさん浮かんでいた
僕ばかりであった
小さい僕から
老いぼれた僕
海の中突っ立って泣いた
その延長線上に浮いている
硝子のケース
その中に凛と咲く百合は
君だったんだね
前の僕だとそれを壊し
切り刻んだだろうね
でももう
赤い海に引かれて
溺れてゆくから
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