失くした詩への覚書/乾 加津也
 
拙くてもぼくは「君との失踪」を書いて、それが
じぶんを覗いた初めての瞬間

いつとはなしに、その詩が消えてからは
じぶんの覗き方も変わってしまった
(水のように流れて、もはや字面には戻れなかったのでしょうか)

 校舎の裏門
 儚く漂う恋心に
 小さくはしゃぐ靴音たちが押しよせ
 からかう風にも傷む指で
 書かれたじぶんは?



行方知れずほど
素敵な生き死にはないさと呟きながら、ふとした
風の騒めき、失くした
詩(ことば)の輝き
喪失さを訪ねて、土手沿いを
歩くじぶん(少年)がいるようです

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