平面図/……とある蛙
冬空は鈍色の曇天
銀杏の並木は
隙間無く黄色の絨毯が敷かれ
気持ちよく歩こうとするが、
坂道は滑る
雨の坂道は滑る
人生の平面図には
坂道が読み取れず
確かに坂道があるのは
当たり前でも
そのま滑ってしまったり
転がり落ちてしまったり
人生は下り坂が最高で
上り坂は苦しい
上り坂が素晴らしいなどと
言う輩もいるが、
上れば下るのが当たり前で
ただそれに気づかないだけで
落下していく者はみな笑っている。
下り坂が最高と
正平君も言っておるではないか。
上ることの意味さえ分からず
平面図の上を行ったり来たりしている
真冬の日
それと気づかず下り坂を
ニタニタしながら
歩いている。
戻る 編 削 Point(8)