牢屋の宴/鵜戸口利明
 
魑魅魍魎の
跋扈した
牢屋にぼくはいた
その囚人たちと
夜な夜な
酒を酌み交わしていた

正直言って
ほんとは
こんな狐の皮を被った狼のような
世の人々と
酒など呑みたくはなかった
天使たちと
酒を呑みたかったのだ

喋る言葉がなかった
囚人たちをみ回しながら
吐き気を催した
卑屈な眼をして
人々はぼくをみていた

タバコを吸っていると
囚人たちもみんな
ぼくと同じように吸っていることに
気がついた
人々はみんな
ぼくと全く同じことを
考えていたのだ

肺に
煙をおもいっきり吸い込むと
クラッと
眩暈がした
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