猫人のひとりごと #空想の街 氷涼祭/北大路京介
対するに決まっていると思っていた。
相手が猫人であろうともどんな親でも認めるざるをえないような男になるまでは結婚できないと思っていた。
そんなわけで、ステラにもルナにもウェディングドレスを着せてやれなかった。
それは申し訳なかった。
あの世でも出会いとかあったりするのだろうか?
いまでも亡くなったあの頃のまま、彼女たちは俺を愛していてくれているのだろうか?
その答えを知るのが怖くて、俺は逃げているのかもしれない。
テレビでは白鴉のワタリのニュースが。
街中が風船を付け出す前に俺はこの街を出る。
白鴉がまた別の場所へ渡る頃、俺はまた街に帰ってくる。
今年は涙雨に濡れぬように傘を持って行こう。
#空想の街 #猫人
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