月火水木金土日/香椎焚
 
おのおのに、週末


なぁんだ
なぁんだそうだったのか
息をすることが困難な夜には
知らない地の夢を見るんだ
玄武岩質の平原、つきあたりの揺るがない闇
そんなものが僕らの孤独の限界だったんだ

なぁんだ
なぁんだそうだったのか
香ばしいフィナンシェを焼いている隣家の新妻は
火曜劇場で誰より早く真犯人を当てるんだ
さようなら焔立つ敵と味方の境界で
アイラブユーって言ってくれよ

なぁんだ
なぁんだそうだったのか
照る照る坊主は雨が好きだったのか
虹のふもとが瓦解してゆく夕暮れに
つたと流れる涙のごとき一滴を
主張する手がなかった、それだけなんだ

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