老いた冬に/藤原絵理子
 

風の止んだ朝 林は広くなって
生まれたばかりの顔をした 陽ざしが
汚れ果てた落葉を 白いレエスで隠す
あなたが霜柱を踏む 乾いた音


リズムは不規則で 頼りなく
不自由な足が もどかしく 感情だけは
残って 白樺の幹に 心地よい夢想を残す
少女の頃に 憧れた風景を


やがて降る雪は 隠してくれるだろう
醜い足跡を 幻想の中に揺れる
綺麗な思い出で その侘しい現実を 


冷たく晴れた空は 枯れて新鮮に
追憶に苛まれた 夜を白けさせる
何かの思い込みを 軽々と棚に上げる

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