中村梨々詩集『たくさんの窓から手を振る』について/葉leaf
る。人間が俗世にもまれて世知に長けていくことへのアンチテーゼとして、純粋な子どもは純粋さを固定するために作品内で死ななければならなかった。
中村は、この「永遠の子ども」というモチーフを、単なる問題提起として投げかけているのではなく、自らの血肉と化しているのではないかと思われる。もちろん中村は大人であるが、その子ども性を外部に投擲してしまうのではなく、自らのうちに子どもを永住させ結合させることで、子どものポジティブな面を保存し続けたのではないだろうか。子どもらしい幾分唐突だけれど意表を突くような認識が大人の筆致でうまくまとめあげられているのを、私たちは中村の詩群に見て取るが、そこでは、子どもの大
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)