みかん/こひもともひこ
 
すが・・・」
「いったいどうしたというのだね?」
「やつら、ピンクグレープフルーツとやらを開発しました」
「ぴ・・・ぴんく!」

カツン…カツン…カッ
「私を忘れてもらっては困るわ」
「ル…ルビー少佐!」
肩にかかる蜂蜜色のウェーブ
「ピンク少尉には精製したサラサラのグラニュー糖がお似合い…蜂蜜は私の獲物よ」
    
●とよよんさん


「とりあえず私たちに共通した問題はこういうことね
 ――皮が厚すぎる!――
 だから剥いてもらえない」
「夏みかん将軍!」

ひんやりとした夜の帳が戦場に降りてくる
柑橘たちは
薄皮を剥かれ
あるものは白っぽい煮物の飾りに
ふうわりと立ち上る湯気
あるものは湯船に浮かび
束の間の休息
   
●とよよんさん


「お湯はええどすなあ。みなさん絞って飲まれるだけええやおまへんか。あてかて剥かれて食べられたいとは思うんやけど、ちょいと香りに使われるだけですのやでぇ」
ゆず姫様はそう言って、
涙を流すのでした。


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