年末年始のご挨拶に変えて/ただのみきや
 
世界がひとつの終末へ向かって集約されて往く時代
世界はひとりの詩人の透明多面性により屈折分散する

時空を超えた鳥瞰図は迷える自我を慰めても
空腹に泣く赤子ひとり救えはしない
言葉は時に力 時に愛 そして希望
言葉は時に無力 時に仮面 無垢な詐欺師

自分が幸福だった時代を思い出すことはできても
世界が平和だった時代を思い出すことはできない
いままでもこれからもいつまでも

しかし愛や平和について人はこれからも
語り 書き記し 掲げ 叫び 
時にいのちを捧げるだろう
それは消えない癒えない傷のように
魂を引き裂く痛みを人に与え続けるから
決して絶えることはない

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