喪服の街/オダ カズヒコ
 
がした

ちっとも
綺麗になっていかない
思い出だけを残して
このドアノブの向こう側を回せば
「また明日」と
軽く手をかざし
別れていく交差点がある

考えてもみやしない出来事に
困惑の顔を浮かべるよりも
ありきたりの日常に
縋りつくお互いの顔に
困惑の顔を見つめてしまう

この僕らの街はもっと色んなものを
たくさん見ていたり
ずっと上手にちゃんと隠していたり
するというのに
戻る   Point(3)