扉より/瀬崎 虎彦
 
理念よ 重き翼の理念よ
寡黙な唇を割って 朝日のように
白く眩しい また凍る泉のように
透明で穢れのない 声を

足元で戯れる記憶の娘たち
どこへでも歩いていく軽薄の子供たち
いまはすべてを許そうと手を広げ
開かれるままになっているその肢体

あどけない面影を慕いて
夜もまた忍び寄るならば
純粋の目に錐を

痛みさえも甘受し
犯した罪を忘れるなら
その瞳に硫黄をそそげ
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