夜とはばたき/
木立 悟
えた羽ひとつひとつを
花に花に呑み干しながら
白い灯が
すべてを残らず見せてゆく
桃の香を
夜へ夜へ押しのけてゆく
犬は
鳥のかたちの火を見つめていた
近づくこともできず 凍えながら
ぱちぱちと砕ける羽を見ていた
取り除くことのできぬ部位に
標のように刺さる刃
羽も花も雨も火も
ただ映りながら過ぎてゆく
背中を照らし 過ぎてゆく
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