氷/葉leaf
私は福島の田舎の自治体に生まれ、地方の国立大学を出たのち、生まれ故郷の市役所に就職した。私は原子力災害以降、主に除染技術の研修の業務に携わり、日々様々な問題を解決しながら業務に励んだ。確かに私は被害者だったが、福島の復興のために何よりも大事なことは、被害者面をすることではなく、淡々と自らに与えられた業務をこなしていくことだと思っていたので、使命感を持って業務に取り組んだ。そして、そんな年も終わり、遂に仕事納めとなった。私は市役所を出ると、夜の街の中を、コートに冷たい風と雪を受けながら、バス停へと向かった。私の緊張の糸はほぐれていて、ただ疲労感だけがあった。
街角で信号を待っている
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)