ペンとスケッチ/ただのみきや
何が不可解かって
なんでこんなものをスケッチしたかってこと
いろいろ考えてみたけど結局思い出せなかった
もしかしてあの男に恋でもしていたのかしら
それでいつもペン先を舌で濡らして ああ……
スケッチしてやろうとこっそり待ち伏せて……
そんな訳ないだろ!
美しさや儚さ
高邁な理想
時には滑稽さ
愚かさだって
スケッチしたくなるものさ
どうにも割り切れないことだから
描いてみたくなるのかねえ
カチャカチャペンを押し続けて
悪い癖なんだ
神経質?
そうでもないさ
ラテンのリズム
真冬に引かれる素早い斜線は
脳内トロピカルパノラマライン
闇の色音の囁きで
切り出す輪郭の力加減
見えない手に握られて
えっ『おまえも其処らにゴロゴロしている安物だろ? 』
違いない おっしゃる通り
そう 違いなんてないのさ
決定的に違うところなんて
この夜が明けるまで解りゃしないよ
《ペンとスケッチ:2014年12月21日》
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