Jane/mizunomadoka
 

彼女は「たすけて」と言った
顔が半分沈んだときも
まだ生きていた

走ろうと力を入れた
頭の上で砲弾が装甲を弾き飛ばした
気を失った
彼女は消えた



外出日の
誰もいない食堂の隅に座って
彼女は何かを読んでいた

俺も本が好きだったから
気になった

驚かさないように
ゆっくりとそばに寄る

「やあ。どんな本を読んでるんだ? ああそれか。良い本だよな」

訝しげに彼女が顔を上げる

「俺はマイク。きみの名前は?」







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