Jane/mizunomadoka
彼女は撃たれて横向きに倒れた
一瞬、背中と胸から血が噴き出した
それから
泥に沈んでいった
永遠の数分
俺は車輌の下に這いつくばった
いつも仏頂面で
誰とも親しくなろうとせず
休日も食堂でロマンス小説を読んでいた
「どうやら俺は死ぬらしい」そうからかうと
肩をすくめて「今殺すわよ」と言った
本気で
生まれた町から何万マイルも離れた
糞みたいな場所で
何日もまともに寝てなかった
名前も知らない。ただのジェーン
軍は後方の拠点まで撤退し
数日後には更に撤退した
彼女の場所に戻ることはなかった
俺はあのピンクの本を買った
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)