時間の概念の分岐、無数の死体を振り回し、すべてに点火しろ!/ホロウ・シカエルボク
 








膝を折りたたんだままで夜の中に沈んでいく、ついこの間まで鳴き叫んでいたはずの虫どもはすっかり死んで沈黙してしまい、取り壊された隣家の建物のあとの更地に生えふさぼった雑草たちもくず折れて色を無くしている、ときおり建物を揺らすほどの強い風が吹いて、築数十年が経過した継目は悲鳴を上げる、俺を巻き込まないでくれよとひとりごちながら今日の断絶をテーブルに並べ、その中に取り戻さなければならないものがないかどうかチェックした、そんなものはない、そんなものは見つかったことがない、ときどき砂金でも探している気分になる、取り戻さなければならない、断絶、そんなものはこの世に存在しないのだ
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