星が降った聖夜/くみ
」
「なら、ちゃんと使うね。本当にありがとう」
お店に入るの苦労したんだろうな……。
他の女性客に混じって、顔を赤らめながら一生懸命に選んでいる彼の姿をつい想像してしまう。
夕方になると彼の家のリビングからは真っ赤に染まっていた空がだんだんと沈んでいく様子が分かる。お喋りに夢中というか、彼の話を聞いていた間に、空はすっかり闇を湛え、星を照らしていた。
「ねぇ、久々に温室の中入って花を見てもいい?」
「なら、俺も一緒に行く。靴、ちょっと冷えるかもしれないけどサンダルでもいいか?」
「うん、大丈夫」
彼はちょっと何処かに行く時でも必ず手を繋いでくれる。
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