妻のジャストサイズのセーターは胸の膨らみを隠さない/瓜田タカヤ
今生存する事を疑る
皮膚など
無かったんじゃないか
歩行法は
四つ足であったんじゃないか
毛糸を使った治療法は
何を治しているのかワカラナイ
どれだけ汚物にまみれても
それに見合う
強力なクリームを使えば
恐ろしくきれいになる
強力なクリームを使えば
全ては汚れているんじゃないか
皮膚がめくれるほど擦る
濡れた筋繊維が露出し
尖ったスイッチを白目で痙攣連射する
秋の寂しい風を受け冷たく磨耗する
毛糸 皮膜を剥がして
毛玉だらけのセーターを着
脱ぎ
妻のいる部屋へ行き四つ足で歩く
奇声を発しテレビの女の歌に合わせて
四肢の関節をリズミカルに振る
歯の力で妻の頭髪を切る
背骨が折れるほどブリッジをする
だえき越し
気弱に
君を見る
妻のちょうど良いサイズのセーターは
胸の膨らみを隠さない
町で放置される事を臆さない
甘いたくらみを
適当に感知シナイ
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