成り損ないと空き瓶と/baby bird
別に以前と特に何かが変わったわけではなくて
美味しいものを食べれば美味しいと思うし
嬉しい事があれば嬉しいと思うし
楽しい事があれば楽しいと思う
そこに見出すべき何がしの喜びを
蓄積するための瓶のようなものがあったとして
その小さな空き瓶の使い方も
その小さな空き瓶の所在でさえも
今ではわからなくなってしまったというだけで
生きている事が愉快だとは思うけれども
生きてゆく事が喜ばしい事とは思えなくなってしまった成り損ないは
おそらく根っこの根っこの奥底の
欠いてはならない部分を失くしたままで
それでも惰性で歩みを進める事はできるものだから
たぶん明日も明後日も
どうしようもない据わりの悪さを引き摺りながら
こうして町の中を歩いていくのだと思う
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