処刑台/青井
見えないギロチンの刃が不吉にきらめいている
我々はみな刑の執行を待つ囚人なのだ
だがそれは決して悲しいことではない
むしろ喜ばしいことなのだよ
いいかいフランソワーズ
おまえが生れ落ちたその瞬間
神様はおまえの細い首にすてきな首輪をつけてくれた
だからおまえは奈落に迷い込むこともなく
神様のもとへ還ることができるのだ
もしもおまえが暗い穴の底へ落ちそうになったら
神様は首輪につないだ紐をくいっと引っ張ってくれるからね
蛆蝿のたかる家族を前に
フランソワーズは困っていた
人間は燃えるゴミかしら
もしくは不燃ゴミかもしれないわ
焼却炉の強い炎をもってしても
きっと白い骨は燃え残ってしまうもの
月曜日と火曜日のどちらに家族を捨てるべきか
フランソワーズは考えあぐねて
結局どちらの曜日にも捨てそびれてしまう
曜日を間違えてゴミを出すと
係員に怒られてしまうから
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