処刑台/青井
フランソワーズは寂しかった
たくさんパンケーキを焼いたのに
一緒に食べる相手がいなかったからだ
ママはキッチンで
パパはソファーベッドで
弟は階段で
おばあちゃんは庭のユーカリの下で
それぞれの仕方で死んでいて
それぞれの早さで腐り始めていた
フランソワーズはメイプルシロップを片手に
ほとんど途方に暮れている
あーあ こんなにたくさん焼いたのに
とてもひとりじゃ食べきれないわ
この地上はひとつの大きな処刑台なのだ
パパがしていたそんな話をフランソワーズは思い出す
我々はつねに見えない銃口にさらされている
足元では見えない落とし戸が軋みをあげていて
頭上には見え
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