travel/mizunomadoka
旅の二日目。波止場で追い剥ぎに遭い
荷物をすべて失う。
迷って左を選んだのが致命的だった。
彼らはズボンとシャツを投げてよこし
(下着は返してくれなかった)
生きたければここに行け、と紙切れをくれた。
私は礼を言い、彼らが見えなくなると
反対方向に歩き出した。
警察にお決まりの被害届を出し
一文も持っていないことを相談すると
追い剥ぎと同じメモをくれた。
シェルターでシャワーを浴びると
生き返ったような気持ちになる。
食事も美味かった。
救世軍の衣類箱をバーゲンの
主婦のごとく漁りまわって
シャツ、パーカー、ジーンズ、コート、
それにバッグと寝袋も手に入れ
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