「従軍慰安婦」と「挺身隊」──────朝日「第三者委員会報告書」に寄せて/Giton
 
の原因となったかもしれない)

ともかく、韓国において、相当早くから、「挺身隊」が〈慰安婦〉を指す名称として使用されていたことは、「挺身隊問題対策協議会」という韓国の運動団体の名称が、これを明らかに物語っている。

それでは、そうした韓国での「挺身隊」という語の使用が、いかなる経路によって、朝日の記事での混用を招いたのか?

「報告書」は、この点を追究していない(なぜなら、混用を、朝日の責任として非難する意図があるから)が、私は、そこには、この実体をもっぱら「挺身隊」と呼ぶ韓国の報道・世論に対する困惑と配慮があるように思う。なぜなら、当時韓国語には「慰安婦」という言葉は存在しなかったからである。

こうした配慮の結果書かれた「『挺身隊』の名で」という“一種曖昧な”表現の当否については、本稿の範囲を超えるので、私はここで筆をおきたいと思う。

私が注意を喚起したいのは、2つの語の“もつれ”が生じさせたエアポケットの存在である。

なお、私は、生前の吉田清治氏にもお目にかかっているが、その体験については、いつか機会があれば書きたいと思う。
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