雪月華/とよよん
 
12月の日本列島に、台風より大きな低気圧が上陸した。
「かつてない規模の雪雲が流れ込み、
 猛吹雪、記録的な大雪のおそれがありますのでご注意ください」
落ちてきそうな厚い雲を透かして私のあやふやな観察力は、
月がさっき宇宙の果てへと吹き飛ばされたのを確かに目撃した。

亡者の腕のようにうねる巨木の枝の深海色、
たわわに茂る葉っぱをすり潰して暗闇に混ぜて色作りをする。

筆を浸して書き殴りたい手許にあるはスケジュール帳。
明日の予定を確認すれば、現実。
道路の凍結。坂と橋とぐるぐるの陸橋でとうとう
スリップ スリップ ストリップ

バーに絡まるあなたの胸は。深紅のラフレシアの
甘くて馨しい空洞。
新月を重ねながら堕ちていきたいのに、、
今夜は逢えそうに無い

シンク シンク 沈みゆく感情は
冬の海の氷河の裏の碧い魚のまつ毛で跳ねて、
たくさんの小魚になってから
永遠の海流にじゃれついて、紅黒い空洞へと呑み込まれていく。


(2014/12/17 にメビウスリングに投稿した「雪月花」という詩をアドバイスを参考に加筆修正したものです)

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