硝子窓/
青井
素通しの硝子窓に手をあてる
冷たさが指先から染みてくる
色合いのない平板な曇り空に
送電線がいびつな罫線を引く
息せき切って駅へと歩む人々
何か買いたい物でもあるのか
路地裏に埃っぽい風が吹いて
誰かが抑え気味に咳き込んだ
エアコンの運転音が五月蝿い
暖房にするといつもこうだが
買い替えるのは面倒臭いので
ただ春が来るのを待っている
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