イメージだけがひとり歩きだす場所で/ただのみきや
身投げした二人は縒り合され螺旋を描き
ひとすじの異なる物語の一節となって寄生木のように
月を掴んで半開きの扉となり濡れた罠となって曙を仄めかす
だがやっと伸ばした指が舌先が触れるや否や
焦げ痕も残さず感触だけが朧となって微笑むかのよう
時を違えて何も語らない無形のオベリスクよ
イメージだけがひとり歩きだす場所で
わたしは干からびる砂時計の文字がいま尽きる
《イメージだけがひとり歩きだす場所で:2014年12月17日》
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