コーラ/
青井
コカ・コーラの缶とペプシ・コーラの缶が
深夜
ゴミ箱の底で睦言を交わしている
互いの肌の色を褒めそやし
互いのバーコードの形を讃え
標準化されることのない個別の愛を囁き合う
明日には収集車に積まれて
処理場へと送られる彼らは
それでも決して水曜日を呪うことはない
業火に溶かされリサイクルされて
同じひとつの缶になる日を夢見て
かすかな炭酸のなごりに
身を震わせるコカ・コーラの缶を
ペプシ・コーラの缶がそっと抱き寄せた
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