理科の先生の「あだ名」の思い出/木葉 揺
対して、そこそこ授業もちゃんとでるくらい真面目な生徒たちだけど半分以上も歌わない、という感じでした。卒業アルバムも、各クラス絵の得意な子が、全員の似顔絵を描いたりして華やかに飾ってる中、私のクラスでは誰も何も描かず、ゴリが描いた絵にしぶしぶ寄せ書きしました。
今思うと、「ゴリ、可哀想やったなぁ。一生懸命やったなぁ」と思います。当時は、「ゴリがやんちゃな生徒たちを扱うのが不得意で、大人しい生徒だけでクラス固めた」というような噂が流れました。「大人しい」って意外とタチが悪いと、ゴリは知ったことでしょう。
ゴリの偉かったところは、最後には教師として「ゴリ」というあだ名を受け入れたところです。卒業前、3学期に突然ゴリは結婚しました。(奥さんは松坂慶子に似てるらしい)。そのときだけかなぁ、みんなでゴリのために何かしたって。色紙にお祝いのメッセージ書いて渡したら、ゴリ本当に幸せそうでしたよ。
色紙の中央にはでっかく「ゴリちゃんへ」って書いてあったけどね。
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