色/keigo
 
春を待つサフィニアに水をやりながら鼻歌を歌う君がカスミソウに見えたので
僕はささやかな幸せが壊れないように
そっと玄関のドアを開けた

哀しく広がる空と冷たい空気は
春を迎える頃
君たちを きっと強くしてくれると
いつも信じていた僕はその居場所でありたいと願い単調な営みをまだ見ぬ春の温もりで彩った
好きな色は、と聞くと
(青と橙かな)
と答えた貴方に僕は
春に咲く花の苗をプレゼントしたのだった

だけど、そんな日々も小さないさかいであっけなく幕を閉じた

ある春の休日
咲き誇る花びら達を空虚な気持ちで眺め、
夕暮れに寂ばくを浮かべ空を仰いだ僕は気がついた
それは何よりも大切なことに思えた

貴方はきっと同じように空を見上げて僕の帰りを待っていたのだ
移ろい行く幾つもの青と橙を見送りながら
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