月と会話した少女/クロヱ
 
言葉を忘れてしまっていて 何一つ聞き取れなかったが
とても良い話をしてくれたと思う

少女は真白に微笑んで また月を指差した
その指先が柔らかな銀に触れたとき そこからすうっと少女は溶けていった

その子が遠い昔から とても見覚えのある少女だったと気付いたのは
かなり遠いところに来てからである

いつからだろう
少女の言葉を無くしてしまったのは

あんなにも
白く 純粋な綺麗なもの

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