月と会話した少女/クロヱ
月を指差して とても綺麗な言葉を吐いた少女がいた
それはそれは綺麗なもので
真黒の風呂敷の中心に浮かぶ 銀にも負けぬ輝きだ
あたしは とてもとても聞き取ることに難儀し
とうには諦めてしまった
少女が言うには
「火星はね
火のように轟々と ひと時も休むことなく燃えている
それだから 火の星と言うのよ」
例えるなら このような話だと思う
素敵だね
それならばと 問うてみた
「金星ね
あの星は石が全て金塊で出来ていて いつでも眩く輝いている
とてもきらきらした星なのよ」
このようなことを答えたのだと思う
素敵だ
あたしはかの言葉
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