絶望のあとに/Lucy
 
もうずっと遠い昔に
絶望から一歩を踏み出して
歩いてきた僕だから
これ以上裏切られることもないし
やけのやんぱちにもならない

光りあふれ
花咲く道の途切れる先に
真っ暗な口を開け
待っているのが絶望だと
知っている

「明日世界が滅ぶとわかっていても
今日 私は林檎の木を植える」
マルティン・ルターの言葉のように
僕はここで今できる事をする
それは難しいことじゃない

花に水をやり
飼っている猫に
餌を与えるくらいの責任は
果たす
電車の乗降口では並んで待って
災害時には助け合う
そのくらいのことは
誰でも普通にできるから
素晴らしい国なんじゃ
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