壁/葉leaf
はいくつにも分裂し
分裂した砕片の中枢には空洞が広がっていった
壁はもはやあなたではなくただの壁であり
壁はもはや社会ですらなく意味のない物質であり
僕の愛情は芯を抜き取られて
七転八倒の瀕死の状態にある
だが分かっていた
あなたの変身は不条理でもなんでもない
僕の精神があなたを捉えかけている
あなたを捉えはじめた
そのきっかけを敏感に感じとって
僕の精神に正確に対応したもの
僕があなたをほんとうに捉えるためには
一度あなたは壁にならなければいけない
今までの仮象を脱ぎ捨てて
中枢にある無機質な孤独を示さなければいけない
この壁を打ち崩し貫通して初めて
僕はあなたの悲しいほんとうを
僕はあなたの淋しい全体を
愛し憎み受け入れることができるのだ
孤独と孤独とが孤独のまま
対等で平等な歌を送り合えるように
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