夢/葉leaf
 
私の容量をあっという間にあふれ出て、私からも部屋からもどこかへ旅立ってしまいそうに思える。本は大量に存在することで私の精神に襲いかかり、私は自分が買ったはずの本に逆に組み敷かれてしまうのだ。

本は私に物理的に支配されながらも、内容的には私を超え私を教育するものである。本は美的にではなく論理的に美しい。そして、本は偉大でとらえ尽くせないはずの著者の精神を、たかだか一人の人間の手に収めてしまう不思議な変換装置である。本は内容的に美しく私を凌駕しているので、そこには私の最後の夢が残されている。たいていの夢がついえた今、私の最後の夢は、本の活字の集積、それを摂取して血肉とすることで、私自身を超え、更には本に表現された偉大な精神を超えていくことにある。全ての優れた本には一つずつ夢が詰まっている。私は本を読了することでその夢を一つずつ開いていき、どこまで続くのか分からない夢の階段を一歩ずつ登ってゆき、人生を本によって穿たれた聖痕でいっぱいにするのだ。

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