或る少女の話。/桜 葉一
 

少女の足は小さい。
雪を歩けばその足跡も小さい。
歩幅も小さい。
長靴も小さい。

小さな体に茶色のコートを羽織って
少女は世界を旅する。
長靴はピンク。

彼女にとって世界はとても大きい。

小さな足跡を辿って行けば彼女に出会えるだろう。
出会ったときは、おはようと。
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